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アガベは世界各地でいろいろな品種が栽培されていますが、メキシコではテキーラ(近年ではシロップを含めて)をはじめとして重要な産業でもあるので、専門的な農業従事者がアガベ畑を管理しています。
特にテキーラ生産になくてはならない最上級の品種であるブルーアガベ(ウェバーテキラーナ)に対するメキシコ政府、民間企業の注目度は高く、ブルーアガベから抽出されたシロップやイヌリンファイバー、あるいはアガベシュガーに今後成長する輸出品目としての期待は大きい。期待度が高い反面、アガベの育成には5年から8年もの時間がかかり、簡単には量産できないこともあり、忍耐、選択眼、体力、よほどのアガベに対する愛着がなければ対応できる仕事ではありません。
しかもアガベ栽培においては、機械化導入が難しいので伝統的な手法で刈り取られます。そのアガベ刈取りをするのは、ヒマドール(Jimador)と言われる熟練者たち。代々続く竜舌蘭の葉を切り落とし、刈り取っていく専門職なのです。だからメキシコ特有の職業としてヒマドールという名前も存在します。 ヒマドールの役割は、ブルーアガベ種竜舌蘭の熟成度を判断することから始まります。成熟し過ぎや未熟なものを刈り取っては、生産の時の糖度にも関係をしてくるからです。
刈り取り時期は一年中なので、季節性はないわけなのですが、雨季の時もあり、真夏の日が照る熱射地獄での仕事もこなさなければなりません。
まずは葉を切り取ると、巨大パインアップルのような果物を取り出すことになり、その葉を取る作業を通常足元の悪いところで2-3分で行います。雨季は泥の中での格闘であり、トラックなども入り込めないので、刈り取ったブルーアガベのタマを馬やロバなどで運ばないといけなくなります。
刈り取ったタマは30キロから60キロにも及ぶので、切るだけでなく、後で集約する時も大変な作業です。ヒマドールの刈り取るための道具は、コア・デ・ヒーマ(coa de jima)といいます。
鎌なども使いますが、これは雑草を切り取るときに使います。コアは日本の丸い扇子のような形をした非常にシャープな写真にもある切り取り道具で、刃先がシャープでコアを振りかざした時は危ないだけに、靴などもきちんと革靴を履かなければならず、暑くて湿った時期にはかなり大変だろうと推測します。
有機栽培をしているところでは、いろいろな虫や蛇などもいるので、自然界との共生となる。現代化が速いテンポで進むメキシコにおいて、ロハス的な活動をするヒマドールたちが活躍する場が増えてくるに違いない。

 

岩山鉄平ブログより